ライオンズガーデン川口管理組合では、4つの行動指針を掲げ、「マンション100年構想」の実現を目指している。

右記の4項目は、マンション管理組合の掲げる目標としてはベーシックなもの。しかし、なかなか実践できないというマンションも少なくない。

「まず、どんなことでも行動を起こすことが大切です。小さなことでもいいのです」と田村理事長。
ライオンズガーデン川口の皆さんが設備整備を自らの手で行うのは、実施の規模を自分たちで調整しやすくし、最初の一歩が気軽に踏み出せる状況を作れるといった理由があるからだという。

さらには、外部の施工会社に依頼をしないという決定をしたことで、金銭的なハードルを低くし、マンション内での合意形成がしやすくなった点も見逃せない。
ライオンズガーデン川口のDIYは、前ページでご紹介したような大プロジェクトに成長したが、それはあくまで結果。
はじめの一歩は「駐車場をもっときれいに使いやすくしたい」という、当たり前の気づきだったのだ。




ライオンズガーデン川口の皆さんが活動をするなかで大切にしているのは、行動指針のい砲發△襦崕嗣姥鯲」だ。そのためには、管理組合で行った活動の成果を、居住者全員で楽しむことが欠かせないという。

「マンション内のイベントは、できるだけ盛大にやるようにしているんです。桜祭りに100人以上が集まったり、プール開きには近隣に住む家族も呼んだり。
そうすることで、『ライオンズガーデン川口はいいマンション』と思ってくれる人が増える。噂が広まれば、マンション自体の価値も高まり、ずっと住み続けたいマンションになるでしょ」と会計部長の頼田さんは語る。

さらに、マンション居住者が各施設を使いやすいよう、清掃活動はできる限り多くの居住者に参加してもらうようにしているという。
「『クリーン大作戦』と銘を打って、マンションの敷地内をみんなで大掃除するんです。そうやって自分の手が入れば、私も使っていいよねと思えるから」と田村理事長。境さんは、「理事長は、人を巻き込むのがうまいんだよ」と語るように、清掃活動以外にも、管理組合の活動に参加してくれそうな居住者に積極的に声をかける。

「ただ、声をかけるだけでなく、その人にやってほしいことを、役割分担する。すると、皆さんきちんと参加してくれるんです」(田村理事長)
そうやって巻き込まれた人が「楽しい」と感じる秘策もしっかりとある。

「自分たちで設備整備を行うのが楽しいのは、ひとつはその設備を使ってくれる皆さんが喜んでくれるから。もうひとつは、体を動かして汗を流したあとにある、参加したメンバーとの打ち上げが楽しいから。そんな楽しみも大切(笑)。意外とそうした場での会話から、次の施策のアイデアが出るんですよ」(営繕部の後藤さん)
多くの居住者が活用する集会室の壁には、管理組合が目指す目標として「4つの行動指針」が貼られている。
 
管理組合での活動を通じて、役員同士の絆はさらに深まり、コミュニケーションも活発になっている。








ライオンズガーデン川口が「マンション100年構想」の次の一手として取り組み始めたのが、高齢者支援。2018年2月に「高齢者援護委員会」を発足した。
「まずは、見守り隊を作ろうと思います。対象者を◎75歳以上の単身世帯◎75歳以上の複数世帯◎65歳以上の単身世帯◎65歳以上と障害を持つご家族の世帯と、4つのタイプに分けて、リスト化。
公表はしませんが、必要なときに慌てないよう管理シートを作り、緊急連絡先などを記載していただいています」(田村理事長)

そして、全居住者を対象にしたアンケートも実施。
「援護対象の高齢者の方には、委員会に『何をしてほしいか』を聞き、またその他の居住者には『高齢者に対して何ができるか』を回答してもらいました」(田村理事長)

アンケートには、支援できそうな項目をリストアップ。定期的なゴミ出しの手伝い・布団干し・訪問・声かけ・散歩のつき添いなど、考えられるものはすべて書き出したという。
さらに「場合によっては"有料"でもいいか」という質問も用意。これがポイントだったと田村理事長が教えてくれた。

「有料支援の質問を用意したのは、援護を頼む側が『やってもらうのは悪いな』と思うようなことも、必要ならば遠慮せず頼めるようにするためです。
まずは、ゴミ出しのような簡単なことから、来年には実施できるようにしたい。小さいことからでも行動することが大切ですから」(田村理事長)

このアンケートは実名記名にもかかわらず「50%近くの回答があった」というように、高齢者援護委員会への関心はとても高いものだった。その背景として高齢化への危機感がある。現在、ライオンズガーデン川口の75歳以上の居住者は10%未満。65歳以上でも30%だが、この数値はだんだん増えていくと今から予測される。

「高齢者が半数を超えたときに取り組み始めても、遅いんです。
『まだ平気』と思えるうちに組織を整え、次の世代が引き継いでくれる状況を作りたいのです。だから今から、焦らず、少しずつ準備を進めています」と頼田さん。
田村理事長が日ごろから若い居住者に声をかけて、積極的に管理組合の活動に勧誘する理由も、これからの高齢化を見据えた部分が大きいという。





多くのマンションで管理組合の理事は輪番制となっているが、そうした慣習もこれからは状況に合わせて変わっていくのかもしれない。

「このマンションも、最初は輪番制でしたが、今はやる気のある方を集めています。そして、楽しみながら積極的に活動をしていくなかで、『来年も理事会をやりたい!』とみんなが口を揃えていう環境ができあがりました。
竣工から30年も経つと、自分のマンションにどういった人がいるか、皆さんだいたいわかってくる。そのなかで、やる気がある人が理事になり責任を果たす姿勢が、マンション管理をする上で大切なことだと思います」(田村理事長)

ライオンズガーデン川口の「楽(たの)しむ」マンション管理の輪は、まだまだ広がりそうだ。その輪は居住者全員をつなげ、「マンション100年構想」という夢の確かな基盤になることだろう。






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